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営業マンの仕事はどうなっていく? 個人間売買が広がる「シェア型社会」とは

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2015.8.19

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昨年ごろから、『Fril』や『メルカリ』、『minne』といったスマートフォン向けアプリのTVCMを見かけるようになった。これらは不要になったものや、手作りの商品を個人同士で売買できるフリーマーケットアプリである。
近年、このように取引が個人間で完結する売買サービスが広がりつつあることは、商品を販売する営業マンにとって、全く影響がないとは言い切れないだろう。

旬な出来事とそれが及ぼす影響について、その道に詳しいジャーナリストやライターが分かりやすく解説するB-plusの連載『旬事快説』から、今後、個人向け営業マンの仕事に影響を与えるかもしれないこれらの市場の動向について書かれた記事を取り上げる。

※この記事は『B-plus(ビープラス)』2015年4月の記事「復権する 〈シェア〉型社会~個人間取り引きからあらためて考える~」の転載です。

こんなにも多くの物に囲まれていたとは!

「いやはや、たかが学生1人の生活にこんなにかかるとは」
知人の子息が東京の大学に入学が決まり、おめでとうを言ったら、こんな愚痴が返ってきた。聞くと、ワンルームの賃貸マンションを契約したのはいいが、生活道具一式をそろえるのが大変なのだという。冷蔵庫、洗濯機、掃除機、オーブンレンジ、炊飯器は家電5点セットと呼ばれ必需品。エアコン、暖房などの季節家電。テレビ、ブルーレイレコーダーなどのAV家電。アイロン、ドライヤー、シェーバー、さらに机、ベッド、寝具、本棚などの諸々の生活品・・・・。言われてみて、いまさらながら、われわれを囲んでいる物の多さに驚かされた。

全て新品でそろえなくてもいいのではないかと聞くと、「せっかくの、新しい生活ですからね」。なるほど、親心か。しかし待てよ・・・・。

社会は〈所有〉から〈シェア〉へ

戦後の物のない時代から高度経済成長期を生きてきた筆者には、日本人が物を買い込むことで豊かな生活を実感しようとしてきた気持ちはよくわかる。しかし、バブル崩壊後の低成長期に入ったこれからは、〈豊かさ〉の定義や、物に対する価値観を変えていかなければならない時代になっているのではないかという気がする。

「新しい生活」はわかるが、成熟時代の昨今、たいていの商品は新品でなくても、またブランド――例えば百貨店――の保証がなくても信頼できる(製造業の小売進出が進み、「実際つくっているのは表に出ないメーカー」という認識が常識になったことを思い出してもいいだろう)。リサイクルショップやフリーマーケットに行けば高品質な型落ち品が並んでいるし、また、一般の人々が高機能なITインフラを廉価で使えるようになった結果、オークションやネットフリマなどの「個人間取り引きを促進するサービス」もすっかり普及した。

これらの動きを総合すると、消費者の意識は物を〈所有〉することから〈シェア〉するほうへ、着実に変化していることがわかる。

個人間取り引きは消費税がかからない

進学や就職で人が動くこの季節、ネット上では個人間取り引きが活況になる。個人間取り引き(CtoC)の利点は何といっても消費税がかからないことだ。事業者から消費税付きで購入するよりも得という心理が働くし、高額商品になればなるほど免税メリットも大きい。

CtoCなどというと目新しいイメージに映るが、個人が物やサービスを売り、個人が買うというスタイルは古くからあった。地方の個人農家と契約して米や野菜、果物などを取り寄せる個人間取り引きはすでにかなりお馴染みのものだ。つくっている農家の顔が見えるのがいいし、自分がおいしいと思う米や野菜を、納得した価格で購入できるから根強い人気がある。すでに、日本で消費される米の4割以上が農家直販になっているというデータもある。

現代のCtoCといえば、「ヤフオク!」などのネットオークションが代表例である。人と人が直接会ってやりとりをしてきたフリマも、スマートフォンが普及するにつれフリマアプリが次々に登場し、ネット上で行えるようになった。ただ、ネットオークションやネットフリマで扱われる商品は宅配便で送れる程度のものに限られる。大型の家電製品は消費税の代わりに送料がかかるので買い手がつきにくく、オークションは値付けや落札などに伴う駆け引きを嫌う人にはとっつきにくいイメージもある。大小を選ばず、しかもシンプルに物を売りたい・買いたいユーザーには、オークションやネットフリマはハードルが高いかもしれない。

会って直接交渉・・・・広がる個人間売買

いっぽうで、「個人間取り引きなのだから、直接会って交渉したい」といったニーズは高まっており、それに応えるサービスも登場している。家具などの個人売買を仲介するサイト「ジモティー」は、マーケットのエリアが絞り込まれており、買い手と売り手が直接会って交渉することも可能だ。サイトは広告収入で運営されているので手数料はゼロ。地元同士なので送料がかからないケースが珍しくなく、もちろん消費税もゼロだ。また、リサイクルショップだと新品同様の商品でも半額どころか悲しいほどの値をつけられることがあるが、「ジモティー」は個人の交渉で「譲ってあげる・譲ってもらう」という形をとるので、買い手が一般的な中古品市場の相場より安く品物を購入できるうえに、売り手も納得して品物を手放せる。消費増税以降の契約は5割増しだという。

自動車でも個人間売買の動きが広がっている。自動車修理工場のカーコンビニエンス倶楽部が中古車仲介のサービスを始めたのなどはその好例だ。売り手がクルマを店に持ち込むと、修理・点検して推奨価格を出してくれる。マージンが安いので、買い手は中古車ディーラーで買うより数十万円も安く買うことも可能だ。売り手は高く、買い手は安く、しかも消費税がかからない。双方にメリットがあることから、新しいビジネススタイルとして人気を集めているという。

また、日本では出品代行サービスはまだ「宅オク」「オークション代行.com」などのネットが主流だが、アメリカには出品代行のリアル店舗が街頭に当たり前のようにある。家の中の不要品を手軽にマーケットに出品できる代行サービスの店が増えれば、個人間取り引きへのハードルはもっと下がるだろう。

「所有する」のでなく物の「機能を使う」

東大名誉教授で惑星科学者の松井孝典氏は、著書『宇宙人としての生き方』(岩波新書)の中で、地球の未来に触れて「豊かさとは所有することだが、我々は生きていくにあたって本当に物を必要としているだろうか。実は物(製品)ではなく、物の機能を必要としているだけだ。重要なのは物ではなく、その機能だ。したがって、所有ではなくレンタルという格好で物の機能を使えばいいのではないか」というようなことを述べている。現段階で、「レンタル型社会」がどんなものかはわからない。しかし、欲望を制御できる方向に行けば、いままでの所有という考え方とは違った、新しい生き方のシステムが見えてくるのではないかというのだ。

シェアかレンタルかの言葉はともかく、「自分に必要なものは、誰かが持っている」という考え方を持てばいいのだ。かつて、クルマは持ち主のステータスを誇示し、羨望させる物だった。いまは道具であり、レンタルしたりシェアして利用することで賢い消費者として賞賛される時代になっている。CtoCも、一時的なブームでもないし、全く新しいサービスでもない。もともと取り引きとは対面での物々交換が起源だ。「所有からシェアへ」という潮流にしても、昔はそれが当たり前であったところの、近所に住む人々の間の物の貸し借りに由来している。

市場主義経済の進展により脇へ追いやられていたCtoC=個人間取り引きだが、ITと交通のインフラがいったん全国に完成したことで、“成熟社会・日本”なればこそ息を吹き返すのではないか。「○○売ります」、「○○買います」。「○○が欲しい人いませんか」、「手放していい○○が余っている人いませんか。取りに行きます」etc・・・。折りしも先月末、東京・八王子市の中央大学で、卒業する学生が不要になった家財品を新入生に無償提供する「リユース市」が市の支援を受けて行われた。これまでも同様の市(いち)を開く大学はあったが、行政が動くのは同学の例が初めてである。八王子市は日野市や多摩市など近隣自治体とも連携し、市内にある他の20大学にも同様の支援を予定しているという。

これまでの価値観では、もらった物、借りた物を使うのは貧乏くさいとされがちだったが、そうではない。「もらう」、「借りる」ではなくて、物の「機能を使う」なのだ。必要なくなったら返す、あるいは人に上げる。こうした考え方を生き方のサブシステムとして取り入れていけば、これまでの〈所有〉とは違った〈シェア〉型の社会が見えてくるかもしれない。

ライター 古俣慎吾

 
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