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どうなった?話題の店舗その後~41年の歴史で「変化対応」の強さ見せるセブン-イレブン

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2015.12.3

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seveneleven

出店に際し、メディアに取り上げられるなど、話題を集める店舗は多々ある。しかし、その後が報道されることはあまりない。ただ、営業マンにとって、話題を集めた店舗の“その後”を知ることは「売る」ことのノウハウを得るきっかけになる可能性もある。

そこで、流通ライターが実際に足を運んで話題になった店舗とその現状をレポートする、雑誌『激流』の連載『どうなった?話題の店舗その後』の記事を取り上げる。

※この記事は『激流』2015年5月の記事「どうなった?話題の店舗その後 “セブン-イレブン1 号店(豊洲店)”」の転載です。

商圏は肥沃だが競争は激しい

日本人に無くてはならない存在となったコンビニエンスストア。実験店を除き、大手コンビニエンスストアチェーンで、最初にフランチャイズのお店としてオープンしたのがセブン-イレブン豊洲店と言われている。

オープンは、1974年5月15日。当時の日本は、19年間続く高度経済成長期を終え、バブル期に突入するまでの安定成長期元年であり、将来に向け希望に満ち溢れていた時代でもあった。

直近に、ファミリーマートとユニーHD(サークルKサンクス)の経営統合が発表され、3強の力関係が大きく変動し、中小チェーンのさらなる統合が予測される中、コンビニエンスストア業界も淘汰への最終局面を迎えつつある。

今後コンビニエンスストアがどのような進化をするのか、もしくは停滞してしまうのか。コンビニエンスストアの基本を確認すべく、セブン-イレブン1号店である豊洲店を土曜日の午後に視察してみた。

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駅から歩いて3分と好立地にあることもあり、ここ10年間、半年に1度はセブン-イレブン豊洲店を定点視察して買い物をしている。コンビニエンスストアの生命線である、品揃え・接客・クリンリネス(清掃)・鮮度管理は、チェーン問わず、店舗により大きな格差があるが、セブン-イレブン豊洲店は、1貫して、4つのレベルが高い店舗である。この高オペレーションが、コンビニエンスストア全体の模範となり、大きな影響を与え、全国5万店を超える1大産業になった要因とも考えられる。

オープン当時と比較して、人口は4倍になったと言われる豊洲地区。ただしコンビニエンスストアが16店を数える激戦区になっており、ドミナント戦略の1貫でセブン-イレブン豊洲店の山本憲司オーナーがこのうちの5店舗を経営しているようだ。

コンビニエンスストアのオーナーは複数店を運営するのが一般的で、大手3社のコンビニエンスストアでは、4割を超える店舗が複数運営するオーナーの店となっている。少子高齢化・ 人口減少の時代でオーナー希望者が減っているコンビニ業界のトレンドでもあり、セブン-イレブン豊洲店も複数店の経営をするという時代の波に乗っているといえる。

店舗は、運営の努力により41年間もお客に指示され繁栄しているのだが、店の周りを散策してみると、バック商圏の固定客がきっちりいたことも、店舗が長く販売好調のもう1つの大きな理由のようだ。

店舗裏の商圏をしっかり囲い込む

店舗裏の商圏をしっかり囲い込む

店舗裏には、昭和42年・46年に建設された、都営の豊洲4丁目アパートが13棟(1棟 20戸)あり、1戸あたり4人家族が住んでいると仮定して計算すると1040人の潜在的なお客が居住していることになる。大手スーパーも周りに無かったようであり、日常の台所・冷蔵庫として安定的な売り上げが確保されていたのではないかと推察される。

都営アパートの周りは、現在はファミリーが居住すると思われる比較的築浅のマンションが建っている。街を歩いている年配の方に聞いてみると、マンションが建つ前は、トラックなどが行き来する倉庫なども多かったようだ。

そんな理由もあり、セブン-イレブン豊洲店で1番最初に売れた商品は、開店前の6時半に店舗に入ってきた中年のお客が買っていったサングラスだった。お客の特性は分からないが、このあたりのトラックなどのドライバーが買ったのではないかと年配の方のお話から想像を巡らせてしまった。

日常のお客をしっかり取り込んできた

店内に入ると、入り口のシーズンエンドに、他のコンビニエンスストアでは見られない冷蔵リーチインが設置されていて、常に売り込みたいソフトドリンクやアルコール類が並んでいるのだが、今回は、アサヒ飲料の三ツ矢サイダーフルーツフレーバー2種類が税抜140円のところを税抜120円のお買い得価格ということで販売されていた。

2000年前後までは、500ミリリットルのペットボトル飲料は、どの業態の小売業に行ってもコンビニエンスストアと同じ定価販売が基本だった。今は、ほとんどのペットボトル飲料は新商品も含め安売りされている。アサヒの今回の三ツ矢サイダーは、スーパーを中心に税抜83円で販売されているところが多く、店頭を1時間視察した感じではあまり売れていないように見受けられた。NBの飲料やお菓子・即席麺などは、スーパーの安売りには対抗できないため、コンビニエンスストアで販売するのは、非常に難しくなっている。また、NBのメーカーは新商品が発売早々に安売りされるため、ブランドロイヤリティを保つのが難しく、販売できる期間もどんどん短くなっている。

マスマーケットではお客の価格を中心とした消費選別眼が厳しくなっており、買い物をしなくなっている。まさにボリュームゾーン不況を如実に表している現象とも見てとれる。しかしながら、セブン-イレブン豊洲店は、店内を見渡すと20人を超すお客が買い物をしており盛況であった。レジにもお客が列をなし、アルバイト4名でレジ3台をフル稼働させていた。シニア客も多く、カゴの中を覗いてみると日常使いのお客が多数いるのではないかと思われる。

お客の購買行動に合わせてか、生鮮売り場や中食の売り場が充実している。中でもベーカリーの売り場は、通常であれば、3・4本のところを5本のゴンドラを取っており、かつそのうち1本は8割を食パンの売り場で占めている。日常使いのお客が多いことを象徴するような売り場である。

コンビニエンスストアは、これまで一般的に、時間が無い人や深夜などの緊急目的での購買を主とし、男性を中心とする若者を取り込み伸びてきた業態ではあるが、今後は、シニア客や有職女性を取り込んでいく業態に変化を遂げようとしている。

セブン-イレブン豊洲店は、日常のお客を長年取り込んで売り上げを維持してきたと思われるが、今後、近隣に商品価格の安いまいばすけっとなどの食品小型ミニスーパーが出店された場合、どんな戦いをしていくのか、固定のお客がどんな購買行動変化をしていくのか、非常に興味深い。

クリーニング取次サービスも実施

そんな中、お客をただ待っているコンビニから、お客の元に行く「攻めのコンビニ」へと変化するセブン-イレブンの戦略がセブンミールである。

セブンミールは、会員登録をすると、自宅から近い店舗を指定され、注文商品、税込500円からお届け無料。365日 午前10時半までに注文すると翌日に届けてくれる食事宅配サービスである。

展開をスタートさせてから15年が経過。13年は、高齢化の後押しもあり250億円の売り上げを達成している。配達車の超小型電気自動車のコムスを配置する店舗では、配達前の電話確認時に店舗で販売している商品の注文もでき、セブンミールの食事配達と一緒に届けてくれる便利なサービスもあるため、今後は、ますます売り上げが期待できる。

セブン-イレブン豊洲店の店員に、近所に住む著者の高齢の親戚が利用できないか聞いてみると、現在は10名の登録があり、周りの店舗の約5名と比べると多いが、1日2~3件の稼働のため利用しやすい環境という。申し込みは、店舗ごとではなく、セブンミールのサイトや電話で登録でき、店舗への応募のオペレーション負担はないのも望ましい対応だ。

オムニチャネル戦略の進化とともに、今後のセブン-イレブンを考える上で大変重要なサービスだと考えられる。

セブン-イレブン豊洲店のレジの4名の店員のうち、2名が近隣アジアの方で、簡単なレジ対応はできるが複雑なオペレーションの場合は、日本人の店員に質問する流れになっている。

アルバイトの時給が安いコンビニエンスストア業界では、今後も都会を中心に外国人アルバイトの雇用に頼る必要がある。ただし一般的なコンビニエンスストア全般としては昼間の時間は、同1時間帯で2・3名の勤務が一般的なため、日本人と外国人アルバイトの勤務バランスも考えなければならないのが課題かもしれない。

コンビニエンスストアでは、お客が求める様々なニーズを時間に合わせて実現してきた。現状では、お客がコンビニに求めていて不足しているのは、薬の販売とクリーニングぐらいではないだろうか。

セブン-イレブン豊洲店では、既に会員制クリーニング取次サービスを実施している。クスリを除けばお客のニーズはほぼ満たしている店舗といっても過言ではない。コンビニエンスストアは、基本的に大手3社に集約され、各社の社員育成など企業努力の度合いにもよるが、商品の開発、品揃え、カウンターサービスなどはどんどん差が無くなるのが自然の流れである。

今回の買い物でとくに感じたのは、セブン-イレブン豊洲店の接客の良さである。レジにお客が並んでいても、テキパキとお客へ対応を行っていく店員の姿が印象に残った。

チェーンの種類は関係なくなり個店での接客の重要性が今後増してくることは間違いない。そのためには、同1時間帯に1人でも多いアルバイトを雇える売り上げを確保する必要があり、売り上げ確保には商品力や販促、好立地への出店がポイントになる。ニワトリが先か卵が先かの議論にはなるが、心のこもった接客は、コンビニエンスストア運営にとって生命線であることは間違いない。

また、超高齢化に向けてアルバイトもシニア雇用が必要になり、サービス増加などで複雑化したオペレーションをいかに簡易化していくかも接客向上のポイントになるのではないだろうか。

日本全国のコンビニエンスストアが将来どんな姿になるかのリトマス試験紙として、日常使いのコンビニがどう変化していくのかを見極めるべく、半年に1度はセブン-イレブン豊洲店の買い物を継続していきたい。

流通ライター/法理 健

 
元の記事を雑誌で読む
>> http://www.kokusaishogyo.co.jp/gekiryu/post.html


Information

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『月刊 激流』は1976年、製配販にまたがる流通業界の専門誌として創刊。スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、百貨店など、小売業の経営戦略を中心に、流通業の今を徹底的に深掘りします。メーカーや卸業界の動向、またEコマースなどIT分野の最前線も取り上げ製配販の健全な発展に貢献する情報をお届けする月刊誌です。現在、弊誌編集方針として力をいれているのは、川下(小売業界)からの情報を川上(メーカー)に正しく伝えることです。『激流』の特色とは、小売業界の情報(経営、商品等々)に強いことです。それをできるかぎり誌面に反映します。
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