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定年40歳制、ホワイトカラーエグゼンプション、テクノロジーの発展――労働環境の変化がもたらす未来の社会人に必要な能力とは

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2015.1.16

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2026年までの今後10年間で、起業と就労者を取り巻く環境はどのように変わり、それに伴って働き方はどう変わっていくのか。労働環境に関する4つのキーワードから、働き方にもたらされる変化を予想、その時に社会人に求められる力を、各分野の専門家に解説してもらった。

※このコンテンツは、就職学生向け情報誌『就活type』(2014年12月2日発売)からの転載となります。本誌情報は記事末尾にて。

労働環境に関する4つのキーワード

定年40歳制

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、生産年齢人口は1995年の8726万人をピークに減少しており、2027年には7000万人を割るとされる。平均寿命は延び、65歳以上の占める割合は増加。超高齢まで働くことが当たり前の時代に。定年延長が予想される一方、40歳で区切りをつけ、学び直す期間を設けるべき、という議論も

社内起業家の増加

1990年前後のフリーターブーム、2012年ごろのノマドブームに象徴されるように、社会的な束縛から解放された「自分らしい働き方」を模索する動きはいつの時代にもある。ただし、起業家やフリーランスという生き方は誰にでもできるものではない。先行きの不透明な時代、むしろリスクを最小限に抑えた社内起業家」が増加しそうだ

テクノロジーの発展

確定申告など税関係の処理が日本に比べて複雑なアメリカでは、税理士はもともと需要の高い職業だった。しかし、計算ソフトの普及により約8万人の雇用が減ったとされる。テクノロジーの加速度的な発展により、単純作業を中心に数多くの職業がなくなることが予想され、特にAI(人工知能)が人間の雇用をかなりの範囲で脅かすだろう

ホワイトカラーエグゼンプション

2014年6月、安倍晋三首相が掲げる新成長戦略の目玉として閣議決定された。文字通り、ホワイトカラーを労働時間規制の適用から除外(exemption)し、労働の価値を時間ではなく、成果で測ることとする制度。これまでも成果主義の導入をうたう企業はあったが、国の制度として導入されれば、その流れは一気に加速するはずだ

東京大学・柳川範之氏が解説する
定年40歳制

東京大学 大学院経済学研究科・経済学部 教授 柳川範之氏
東京大学
大学院経済学研究科・経済学部 教授
柳川範之氏

75歳まで働くために学び続ける姿勢が必要

どんどん寿命が延びていく時代ですから、これから社会に出る人は75歳くらいまで働くことを前提に考えなければなりません。 ただ、 IT技術の発展で世の中の動きは早くなり、求められるスキルも刻一刻と変わります。

75歳まで働くとなると、大学で勉強して、就職したら後は会社に任せて……では息切れしてしまう。

そこで私が提案する「40歳定年制」は、40歳で一つ区切りをつけて、できれば1年くらいかけて次の20、30年を見据えたスキルアップの機会を設けるというものです。

ただ、現実には全ての会社がそのような良い制度を用意してくれるとは限りません。ですから、仕事と並行して細々とでもいいので、将来を見据えたスキルを身に付ける努力を続けることが、個人にとっての自衛策になります。

仕事を2、3持つくらいの気持ちで、週末に集まって勉強会を開いたり、NPOに参加したりするのもいいでしょう。

高齢者が活躍すると若い人の職を奪ってしまうという指摘がありますが、それは高齢者がうまく働けていないから。うまく働ければ、そこに需要が生まれ、人が必要になるのです。生産年齢人口の減少も大きな問題ではありますが、 現状はそもそも今ある人口をフル活用できていない。女性や高齢者、失業者をもっと活用できれば、実質的な生産年齢人口は増える可能性だってあると思っています。

慶應義塾大学SFC研究所・小杉俊哉氏が解説する
社内起業家の増加

合同会社THS経営組織研究所 代表社員 慶應義塾大学SFC研究所 上席所員 小杉俊哉氏
合同会社THS経営組織研究所 代表社員
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員
小杉俊哉氏

企業の中で働く人も起業家のような覚悟を持て

アベノミクスでここ2、3年は大企業の景気が良くなっているように見えますが、そうでもない会社との差は顕著になっています。

復活してうまくいっているのは、時代に即した大きな事業転換を行った会社であり、 タイミングを失すると事業撤退、売却に追い込まれ、多くの人員が削減されます。

仕事を失うのは、非常に優秀な大学を出て大企業に入り、一生懸命に仕事をしてきた人。ただし、 「言われたことを」やってきた人です。

会社が生き残るためには事業転換は必要だし、リストラが伴うのも当然。そういう局面になっても居てほしいと思われる人材でいられるかどうか。カギは自律であり、自責です。

私は 「起業家のように企業で働く」ことを薦めています。起業家に問われるのは結果だけ。毎月給料をもらえるわけではないし、失敗すれば全てを失うリスクもある。そういう覚悟を持って会社で働けるかどうか。

一方で会社の金やブランド、いろいろなリソースを使えるわけですから、すごく恵まれた、リスクの小さな立場であるといえます。

世の中や企業が求めているのは、いつの時代も新しいビジネスをつくり出してくれる人です。そのアイデアを常にトップが持てるとは限らない。 上からの指示を待つのではなく、自律的に働く人が増えていかない限り、今後日本企業は相当苦しい立場に立たされるでしょう。

慶應義塾大学・山口高平氏が解説する
テクノロジーの発展

慶應義塾大学 理工学部 管理工学科 教授 山口高平氏
慶應義塾大学
理工学部 管理工学科 教授
山口高平氏

コンピューターにはない人間の得意分野で勝負を

AI (人工知能) が初めてチェスの世界チャンピオンに勝ったのは今から20年近く前のことですが、その後チェスプレーヤーがいなくなったかといえば、 そんなことはない。ただ、その姿を少し変えています。

大会の形式はフリースタイルに変わり、コンピューターと人が手を組むことができるようになりました。そこで最強とされる組み合わせは、次の手を考える部分はコンピューターに全て任せる形です。

では、人間の役割は何か。序盤戦に強い、終盤戦に強いといったコンピューターの個性を把握しておき、複数のコンピューターが出した答えが一致しない際に、どれを採用するかを判断します。つまり、人間はプレーヤーではなく監督なのです。

金融の世界ではすでにデイトレーディングの7割がプログラムによって行われています。秒単位の判断が求められ、少しずつ利ざやを稼ぐような仕事は、コンピューターが得意とするところだからです。でも、トレーダーという職業はなくなっていない。数カ月、1年単位の大局的判断は、人間の方が上です。

米オックスフォード大学の研究によれば、クリエーティビティ、相手の気持ちを考える、手先の器用さの三要素が強い職業ほど今後もなくならないとされています。コンピューターと人間とでは得意とする分野が違うので、自然とすみ分けが進んでいくのではないでしょうか。

経済ジャーナリスト・木暮太一氏が解説する
ホワイトカラーエグゼンプション

一般社団法人教育コミュニケーション協会 代表理事 経済ジャーナリスト 木暮太一氏
一般社団法人教育コミュニケーション協会
代表理事 経済ジャーナリスト
木暮太一氏

問われるのは経歴ではなくどんな成果を出せるか

表向きは、労働の価値をこれまでのような時間ではなく成果で測ることで、労働者に柔軟な働き方を認めようという制度です。ただ、この背景には、人件費を安く抑えたいという企業の思惑があります。

懸念されるのは、評価の客観性。仕事を半分の時間で終わらせたところで、暇そうだからといって業務量が増やされ、評価は変わらないという事態です。そこは、確固たるルールをつくり、国が目を光らせる必要があるでしょう。

ただ、個人的にはこの流れを容認する立場を取っています。今までの日本の企業は、成果を出さなくてもベテラン社員というだけで多くの人件費が支払われ、若くて仕事のできる人が正当に評価されていないという現実がありました。

成果に応じて給料が支払われるという考え方自体は正しいと思っています。

これからは、どれだけ質の高い仕事ができるか、同じ質ならどれだけのスピードでできるかの勝負になります。問われるのは学歴や経歴ではなく、 「あなたがどんな成果を出せるか」です。

成果主義が十分に浸透すると、案件ベースでの仕事の受注が可能になり、究極的にはホワイトカラーのフリーランス化が進みます。そうなれば、労働者には自分を正当に評価してくれる仕事を自ら選び、市場価値を上げていく能力が求められるようになるでしょう。

 

取材・文・撮影/鈴木陸夫(編集部)


Information

雑誌『就活type』

2007年に創刊した、就職活動に臨む学生に向けた就職情報誌です。「働くの本質を考える」を媒体コンセプトに、毎年1回の雑誌発刊と関連する就職イベントの開催を行っています。 2014年12月2日(火)発売の号では、今回紹介した記事のほか、ヤフー宮坂学氏やLINE森川亮氏、ライフネット生命保険の出口治明氏、元アップルジャパン山元賢治氏、ウォンテッドリー仲暁子さんetc.のトップビジネスパーソンへのインタビューのほか、さまざまな職業の312人に「働くことの意義」を聞く一大特集を掲載しています。販売は全国主要大学の学生協ほか、大手書店にて(税抜276円)。 その他、就活向けのセミナー情報は、Webサイト『キャリアビジョンtype』でご覧いただけます。
公式HP:『キャリアビジョンtype』



未来予想!次の10年「働く」はこう変わる

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